研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
そんなことを考えているうちに、三人目、彼女の番になった。
なぜか私まで緊張してくる。

彼女がステージ中央に立つ。
さっき声かけて来た時も美人だったけど、真っ赤なドレスを纏った彼女はモデルのように別格に美しい。

「国際教養学部2年 勝田エリーです」

凛とした美しさ。

「きれい」

つい言葉が漏れる。
だけど、隣からは何の反応もない。
ただまっすぐにステージを見てるだけだ。

「今日は特技のドイツ語の早口言葉を披露したいと思います」

恥ずかしそうに笑う。
圧倒されるほどの美人が一気に可愛らしい女の子の顔になる。

彼女の流暢なドイツ語が会場全体に響き渡る。

言い終わると、照れくさそうに司会者に視線を配るエリー。

やっと緊張がほどけたように肩をストンと落として安堵を含んだ可愛らしい笑顔になった。
後ろの列に戻る。

透明感。

風にツヤツヤな髪が舞う。
シャンプーのCMみたい、と思った。

私は始終勝田エリーに圧倒され続けた。

続く美人たちも頭に入ってこないほどだ。

私でも魅了されるのだから、理仁の胸にも彼女が輝いているだろう。

最終的に、ドイツ語の早口言葉を披露した勝田エリーは準グランプリに輝いた。

ミスコンのステージの間、理仁は一言も言葉を漏らさなかった。
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