研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
月曜日になった。
そう、土曜日の幻想ナイトリアム明けの研究室。

私がミジンコたちの様子をチェックしていた頃、院生全員の注目を浴びて理仁が登場した。

「おはようございます」

いたって落ち着いてる理仁。
表情からは全く読めない。

李さんが私を見てくる。

ちゃんとCheckしてみたら?

そんな表情。

理仁が私と李さんを見てきた。

「なんですか」

思わず視線を逸らす。

「いや、べつに」

そう言いながら、研究室に届いていた最新号の学術雑誌「クアンタム」を渡しに近づく。

理仁がパソコンの電源を入れる。

「昨日もずっと論文書いててさ」

そう言って私を見てきた。
バッチリと目が合って戸惑う。

「なに」

鋭い聞き方に、思わず視線をクアンタムに落とす。

「聞きたいことあるなら聞けば」

低音のイラッとさせる言い方。
機嫌がよろしくなさそう。

私は思い切って口を開いた。

「幻想ナイトリアム、どうだったの」

そう言いながら、理仁のパソコンの脇にクアンタムを置く。
理仁がクアンタムを手に取る。

「聞きたいの?」
「聞きたい」

そう言うと、理仁はすぐ近くにいる根本さんやガルシアさんを気にするように視線を向けた。

ここでは言えないってことか。

「後ででいいよ」

私は気を使ってそう言って、自分のパソコンの席に戻った。
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