研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜

6.クラゲ

土曜日の朝。
理仁の部屋のインターホンを鳴らす。

学祭の日とは違って、すぐに完璧な理仁が顔を出した。

「今日は早いね」

おはよう、よりも先にそんな言葉が出た。

「だってずっと行きたかったとこだもん」

そう答える理仁の首には、かなり立派な一眼レフのカメラ。
A4がすっぽり入る大きめのリュック。

ガチ。

ガチだ。

「え、そのバッグの中、何入ってんの」
「図鑑と、メモと、どう回るかの地図と・・・」

出てくる、出てくる。

若干ひいてる私に気付く。

「いつも水族館行く時はこのセットなの」

理仁はそう言って鍵を閉めた。

歩いて駅まで向かう。

大学まで行くことはたくさんあれど、街の方に出るのは完全プライベートでは初めてだ。

前に行ったのは、送別会のプレゼントの買い出しとか。

でも今日はデートだ。

ちなみに今日も私はスカートにした。
パーカーに、花柄のフレアスカート。

勝田エリーのデート服には遠く及ばないかもしれないけど、私なりの精一杯のデート服だ。

ちょっとは、可愛いって思って欲しい。

そう思ってる私の隣で、理仁は水族館の年パスを発行しようか悩んでいる。

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