研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
「そういえば」と突然私の方を見た。

「あの乳が見えそうな服、もう着ないの?」

そう言って笑う。
最悪な事件を思い出した。

「そうだよ、理仁のせいでもう二度と着れなくなったよ」

私の返事を聞いてさらに笑う。

「悲しい体だね」
「はー?」

バッグで理仁を殴った。
最低。

そしてふと思う。

この笑顔を、勝田エリーには絶対に見せないでほしい。

私にだけ見せて欲しい。

電車に乗る。
空いてる電車の中は座り放題だ。

理仁の隣。
別になんてことはないけど、デートっぽい。

こんな電車の中でも、やっぱり理仁はミジンコの精子について話してる。
正直、ミジンコとはいえ、電車の中では言葉を伏せてほしい。

「やっぱりどう考えても不思議なんだよな」って真剣に窓の外を眺めながら言う。

もしかして勝田エリーの前でもミジンコの精子について話したんだろうか。

ふと不安になった。

さすがにミジンコの中でも、話題選ぶのかな。

電車はそんな私たちをゆっくりと海の方へ運んで行く。


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