研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
「クラゲもずっと見ていられるよ、私」

私はクラゲも好きだ。
あんなに綺麗で、神秘的で、ずっと見ていられる。

「クラゲはキレイ過ぎるよ、俺には」

隣から悲しい響きの声がした。
私はやっと理仁の顔を見た。

「眩しくて見続けられない」

その言葉でハッと思い出した。

そっか、クラゲの展示を見に行ったんだ、勝田エリーと。
多分、きっとそうだ。

クラゲは、勝田エリーだ。

「それって、クラゲじゃなくて勝田エリーのこと言ってるんじゃないの」

私の言葉に理仁は少し静止した。
図星だ。

理仁がアンコウを見つめながら小さな声で話し出した。

「一緒にいると、何話したらいいか分からなくて」

アンコウが私向かって泳いできた。
不細工な顔をしている。

「自分でもどうすればいいのか分からない」

理仁の声が私の心でこだまする。

アンコウが私の前を通り過ぎた。

なんだろう、胸が苦しい。

ねえ、理仁。
それは恋ってやつじゃないの?
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