研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
目を瞑りかけた時、「ごめん」と言う声が廊下に響いた。

ごめん。

李さんとガルシアさんが目を見開く。

・・・Yes,Yes,YES!!!

もしかして、私にもやっぱり希望がある・・・?

「まだ、勝田さんのことよく分からないから」

理仁の低い声。

「付き合うとか、付き合わないとか、今の俺には判断できない」

・・・

「I don’t get it(意味分かんないんだけど)」と李さんが耳元で呟く。

同感だ。
I don’t get it.

よく分からないから判断できない?

ガルシアさんが首を傾げる。

なに、その返事。
どういう事?
引き分け?なにこれ。

「もうちょっと、このままで」

もうちょっと、このままで!?

歯切れの悪い言い方。

「分かりました」

勝田エリーの澄んだ声が響いた。

「じゃ、また」という声と共に足音が向かってきたので、私たちは急いで階段下に隠れる。

階段を颯爽と降りて研究棟を後にする勝田エリー。

あんな美人でも、恋はスムーズに行かない。

髪をなびかせて歩く後ろ姿に、少し同情を抱いた。

そして、理仁は振ってはくれなかった。

なんで女二人の気持ちを引き延ばすんだろう。

私はやっぱり、ただのミジンコ仲間でしかないの?
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