研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
優那に会う。
イタリアンダイニングバー。

また今日もやはり優那は隅々キマっていた。

もともと美しいのに、さらに化粧する必要があるんだろうか。
これは格差拡大では?

そんなことを思いながら見惚れてしまう。

「何かあったの?」

優那がくるんとしたまつ毛で聞いてきた。

「理仁が美人に告白された」

私が言うと、「ええー」と口に手を当てて驚いた。

「そんなことある?」

私もまさかだ。

「学祭で、理仁に話しかけてきてさ、その子その後のミスコンで準グランプリとったの」

優那がさらに驚く。

「英語とドイツ語と乗馬が得意なんだって」

私はカジュアルな赤ワインを飲む。
チーズと干しぶどう。

美味。

「勝ち目ないじゃん」

また優那が凶器を突きつけてきた。

「でもね、この間デート行ったの」
「誰が?」
「私と理仁」

「うんうん」と優那はピザをちぎる。

「その時は、私のこと『大切』って言ったの」
「えー理仁が?」

驚きながらそのピザを頬張った。

「でも、準ミスの子のことも振らなかったの」

そう言うと、「はあ!?」と大きな目が見開いた。

怖い。

「理仁の分際で、女をキープしてるよ、それは!」

優那が苛立ちを隠せないまま勢いよくピザにタバスコをかける。

だよねえ。

「うんうん、それは理仁くん、女をキープしてるね」

突然背後のテーブルから声がした。
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