研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
ジュースを買って研究室に戻る。
理仁は顕微鏡を覗いてるままだ。
静かに隣に腰を下ろす。

「理仁って今、好きな人いるの?」

たぶん、どうせ「いない」。
今まで何回も聞いてきたけど、「いない」以外聞いたことがない。

理仁が顕微鏡を覗いたまま答える。

「アインシュタインとかじゃなくて?女の人?」
「そうだよ」

ガラスの位置を微調整してる。

「環かな」

小さく響いた理仁の声に空気がシンとなった。

誰もいない研究室。
二人きりの空間。

理仁が顕微鏡から顔を上げる。

「私?」

聞くと、ケロッとした顔をして答える。

「うん、環のこと好きだよ」

まさかの告白。

女に興味ないって言ってたのに。

好きな人が、私のこと好きだった。

心拍数が一気に上がる。
どうしよう、血管破裂しないかな。

どうしよう、突然告白されるなんて考えてもいなかった。

私も、って言え、言うんだ、私。

私も・・・
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