研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
「準ミスと会い続けるの、嫌です」

そう言った時、ウーロンハイと高尾さんの焼酎の水割りが運ばれてきた。

「それは俺に言われても」

高尾さんが笑った。

「勇気出して、ちゃんと言ってみればいいじゃん」

モツ煮を食べながら高尾さんを見る。

「あれ、俺、実は環のこと好きなのかなって思ってるかもよ、向こうも」

またそんな、私が期待するようなことを言う。

優那なら絶対にこんな生優しい言葉は掛けてくれない。

「好きでもない女の子のこと、デートに誘わないよ」

そう言って焼酎をクイッと飲む。

「でも準ミスともデート繰り返してますよ」

私の言葉に、高尾さんは「ダメな奴だね」と笑った。

そうなんです、ほんとダメな男なんです。

3時間くらい高尾さんと愛やら恋やら話し合った。

実験みたいに「はい、好きです」「はい、嫌いです」って白黒ハッキリすればいいのに。

だから夢中になっちゃうんじゃないの。

答えなんてないから、たくさん好きな人のこと考えちゃうんじゃないの。
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