研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
理仁が上体を起こす。

「俺もちょっと沼入ろっかな」

カメラを私のところに置く。

「好きだね」

私は貴重品が入った袋とカメラを手元に置いたまま見つめるだけ。

ザブザブ躊躇いもなく沼に足から入ってく理仁。

冬になりかけの冷たい水なのに。
ほんと、この人はこういうのが好きなんだな。

落ち葉が舞う。
寒いけど、日差しは暖かくて最高。

「あ!」と理仁が大きな声を上げた。

「きてきて!見て!」

大きく私を呼ぶ。
私も仕方なく近づく。

なんだろ。

沼に入らないように覗くけど、全然見えない。

「こっちだって」

そう言って突然理仁に力強く腕を引かれた私は、勢いよく沼に突入した。

「うーわ」

汚れてもいい格好だけど、腰まで入ってテンション下がる。
そして凍えるように冷たい。
まるで水風呂だ。

「嘘だよ、何にもないよ」

そう言って理仁がケラケラ笑う。
子ども。

「きったな」

手についた汚れを見て言う。

「プランクトンの住処だぞ、汚いとか言うな」

そう言ってドロドロの藻を私の手に乗せる。
氷のように冷たい水。

「やめてよ」

そう言ってるのに、どんどん乗せる。
ハハッと笑いながら。
手が緑色と茶色のマーブルに染まる。

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