研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
理仁がまっすぐ私を見下ろして言う。

「勝手に決め付けて、勝手に落ち込んで、俺に矛先向けるのは間違ってるよ」

分かってる。

「環の気持ちなんて知らねえよ」

理仁が水面に向かって小さく言う。

まるで滴る雫のように、それは波紋を広げて私まで静かに届いた。

理仁がどんな恋愛しようと、私はどうこう言える立場じゃない。

静まり返った沼。

私はちゃんとまともな恋愛ができない。
こんな告白しかできないなんて。

「私はあんな美人でもないし英語も苦手だし・・・」

独り言のように溢れる。

ずっと、勝田エリーが目の前に現れた日から、ずっと私は比較してきた。

比較して、負けて、比較して、落ち込んで。

どこからどう戦っても負ける戦で、もがき方すらも見失った。

「言えるわけないじゃん」
「そういう話じゃねえよ。もう大人なんだから自分の感情くらい自分で処理しろよ」

そう言って理仁が岩場の方へ歩いて行く。

やってしまった。
目を閉じると、頬を涙が伝った。

理仁の言うことが全てだ。

思い通りに行かないことを、自分の中で処理しきれない私はただの子どもだ。
八つ当たりにも程がある。

涙が顎から沼に落ちる。

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