研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
仕事終わりの高尾さんと会う。
街はもうすっかりクリスマス一色。

私たちは高尾さんオススメのおでん屋に入った。

壁一面に貼られたおでんの具材。
定番のものから、変わり種もある。

畳の小上がり席で足を崩す。

なんだか実家に帰ってきたみたいだ。

高尾さんもネクタイを緩めて、上のボタンを開ける。

「ごめんね、こういう店ばっかで」

緩い笑顔を向ける。

「全然、好きです、こういう雰囲気」

そう言ったところに生ビールが運ばれてきた。

「なんかあった?」

高尾さんは乾杯してすぐ聞いてきた。

そう聞かれて、あの沼と、青空と、水の冷たさを思い出す。
今となっては痛々しい、綺麗な景色。

私と理仁だけの空間だった。

手のひらに出来た小さな水辺。
綺麗な水槽のようだった。

私はゆっくり話し始める。

ずっとただの恋だったのに、勝田エリーが現れてから僻みになっていたこと。

それを理仁に見透かされていたこと。

うまく行かない感情を理仁にぶつけてしまったこと。

勝田エリーの方が数倍いい女だと言われたこと。

高尾さんはビールを飲みながら静かに聞いてくれた。

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