研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
こうして噛み砕いて話すと、全てが私の過ちでしかなかったと気付いてしまう。

なんで今はこんなに冷静になれるのに、あの時はすべて感情的にぶつけてしまったんだろう。

「眩しいね、青春じゃん」

高尾さんはそう言って笑う。

「でも今日、二人が一緒にいるの見たら、告白も全部、そもそも恋なんてしなきゃ良かったって後悔しました」

そうこぼすと、同時に涙までこぼれた。
おしぼりを目に当てる。

恋に落ちたら、自信も、好きな人も、楽しい時間も、全部なくなった。

理仁のこと、好きじゃなきゃ良かった。
ただの友達でいれば、こんなに辛い気持ちにはならずに済んだ。

どこの誰と一緒にいようと、私には関係なかったんだ。

高尾さんが頭をポンポンと優しく撫でてくれた。

「そういう恋できていいんじゃない?そんな辛い恋、もう俺は怖くてできないもん」

穏やかで優しい声。

「絶対後で振り返ったら、キラキラして眩しいよ」

また涙が溢れ出てくる。

「でも、もしまだチャンスがあるとするなら」と続ける。

おしぼりから顔を上げて高尾さんの顔を見た。

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