研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜

11.パワー

12月28日。19時。
明日から大学が年末年始の休みに入ってしまう。

学校全体が静まり返ってる。

もう昨日から帰省してる子もいるし、今日も私と理仁以外はみんな帰ってしまった。

論文も私以外のところはほぼ出来上がっていて、あとは細かいところを修正していくだけ。

理仁ももうプレゼン資料の最終確認をしてる。

何も言わないけど、今日もこうして研究室に残っているのは完全に私待ち。

年明け一番に教授に回さないといけない。

そろそろ終わる、大丈夫、間に合う。

パソコン下に表示された時計を見てそう思った時、論文の違和感に気付く。

あれ。

何度もファイルの中のデータを探す。

ない、ない。

そもそも記憶がない。
実験をした記憶が全然ない。

一つのケースの実験が丸々漏れていることに気付いてしまった。

頭の中が真っ白になる。

なんでこんな最後の最後まで気付かなかったんだろう。
ずっとここの部分と向き合っていたのは私だったのに。

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