研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
今も何十回目の深呼吸をしただろう。

ステージ上のチームを見る。
一つ前のチームだ。

すごく堂々としてるように見えてくる。

「あー無理、あー無理」

お腹が痛い気がする。
気のせいかな。

でも大丈夫、今朝は緊張でほとんど喉を通らなかったから、胃は空っぽだ。

出すものは何もない。

「大丈夫」

スッと耳に入ってきた理仁の声。

「あんなに練習したし、大丈夫」

そう言って笑う。

もうすぐ、前の人たちが終わる。

バクバクし過ぎてぶっ倒れそう。
質疑応答が怖い。
英語のリスニングだけでも必死なのに。

大丈夫だ。

聴き取れなかった時は、Excuse me,I didn’t catch your question!

答えられない時は、I’m sorry !

イクスキューズ ミー!
アイムソーリー!

この言葉は私の味方だ。

深呼吸するんだ、私。

隣に立つ理仁の目を見る。
ガッチガチに強張ってる私の顔を見て笑う。

「俺が守るって言ったじゃん」

ああ、私の好きな人。

「言ったね?」
「うん」
「私、質疑応答、全然自信ないよ」

そんな会話をしているうちに、ステージ上から聞こえてきた。

「Thank you all for listening.(ご静聴ありがとうございました)」

ああ、前のチームがとうとう終わってしまった!

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