研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
どうしよう。
ホテルのシングルの部屋に、二人。

突然の展開に戸惑う。

一体、何のつもりですか。

ゆっくりと隣に腰を落とす。

「俺たちさ、好き同士だよね?」

目の前の宙に向けられた視線。
ドレッサーとベッドの間に佇む空間。

え?
ミジンコ仲間では?

言葉が思い浮かばない。

理仁の「好き」と、私の「好き」は完全に平行線を辿ってるものだと思っていた。

決して交わることはなく。

それでいいと半ば諦めて過ごしてきた。

「そうなの?」

理仁に聞き返す。

「違うの?」

軽くショックを受けてるような理仁の目。

「理仁の気持ち、知らないし」

私もそう言って、何もない目の前の宙に目を向ける。

沈黙。

まだ私のタルトがドレッサーのテーブルの上に残ってるんだけど。

これは、どうしたものか。

「今」とようやく理仁が口を開いた。

続く言葉に耳を傾ける。

「今、キスしたいとか考えてるのは、俺だけですか」


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