研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜

14.鴨川

打ち上げが終わる。
店を出て、ホテルに向かってゾロゾロと歩き出した。

明日は帰る。
あっという間の京都。

「もうちょっと、ゆっくり観光したかったよね」

隣を歩く理仁にだけ聞こえる声で言う。
理仁がチラッと私を見たのが分かった。

理仁の頬を内側から舌が押し出している。
何か考えてる顔。

何を考えているんだろう、いつも。

「あの」

理仁が突然、教授に向かって声を上げた。
前を歩く全員が振り返る。

「ちょっと、ちょっと、寄っていきたいとこあるんで」

みんなの顔をそれぞれ見る。

最後に私の顔を見た。

目が何かを訴えてきてる。

身体ごと私を押してきて、私は列からはみ出る。

「ちょっと、ちょっと、ちゃんとホテルまで帰るんで」

後退りするように理仁も列からはみ出てきた。

ガルシアさんが笑う。

「Not your honeymoon!(君たちの新婚旅行じゃない!)」

李さんが「Amazing(素晴らしいわ)」と拍手した。

「鴨川の生態系でも調べてこい」と最後に教授が笑って言った。


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