Pale Blue Rain
「そこまで追い詰められても、まだ付き合ってるってことは、好きだから…なんだろーな…」
まだきちんと乾かない髪を、乱暴に掻き上げてから、俺はポツリと呟く。
その呟きもまた、すぐに冷えて固まって床に落ちた気がした。
科は違うものの、同じ大学に通っていた俺は、多分一番近くで彼女とアイツの関係を見てきたと思う。
告白は、勿論アイツから。
元々、彼女にとってもアイツは意中の人だったから、返事は即OKで…その時彼女はきっと、自分の未来が辛くて苦しいものだなんて、一ミリも思っていたんだろう。
『…消えたい』
その言葉は、俺の胸をひどく鋭く抉っていった。
どうして、彼女の信頼をとことん裏切る、アイツを彼女は突き放せないのかが、正直分からなかった。
でも、結局は『まだ好きだから』なんだと、そういう結論に至ってしまって、偉そうな意見もアドバイスもする訳にはいかなかった…。