身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない

 ポテトサラダを食べながら冬真がうなずいたのを見て、なんだか胸がいっぱいになる。

 いつも仕事から帰ってきてバタバタと作ってしまうことが多いし、それほどレパートリーもないけれど、こうして美味しいと言ってもらえるとまた明日からも頑張れそうだ。

 食事を終えると、柊一さんがお土産に持ってきたゼリーを食べることになった。

 貰ったときは気が付かなかったけれど、それは高級フルーツ専門店が販売しているゼリーで、ひとつの値段が軽く五百円は超えている。さすが柊一さんの手土産だ。いつもはスーパーで四個セット百五〇円ほどのゼリーを食べている我が家とは金銭感覚が違う。

 しかし冬真には高級ゼリーもスーパーのゼリーも違いがわからないらしく、いつもと同じようにぺろりと食べてしまった。私は、味わってゆっくりと食べた。

 それから食器などを洗っている間、冬真は柊一さんとリビングで遊んでいた。

 初めのうちは人見知りを発揮していたけれど、一緒に夕食と大好きなゼリーを食べて少しは心を開いたらしい。自分のぬいぐるみやおもちゃを柊一さんに紹介している。

 その表情はまだ少し緊張しているようだけど、自分から近づいて話し掛けている姿を見てなんだかほっこりとした気持ちが芽生える。

 それに、こうしてふたりを見比べると本当に顔がそっくりで笑ってしまう。

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