身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
どうやらあの電話のあとで私が気になった彼は、圭太さんに頼んで行先を自宅から私のアパートへと変えてもらったらしい。
「とりあえず、それ終わらせれば?」
ソファに腰を下ろした柊一さんが洗濯かごに入っている洗濯物を指差す。途中だったことを思い出だした私は、残りの洗濯物を素早く干した。
それが終わると、「美桜」と名前を呼ばれて、柊一さんは自分が座っているソファの隣を手でぽんっと叩く。どうやら座れということらしい。
私は、柊一さんとは少し間を開けてソファに腰を下ろした。
「それで、何があったんだ」
さっそく本題を切り出されたけれど、柊一さんに話してもいいのか迷ってしまい唇をきゅっと結ぶ。そのまま黙っていると、隣から短いため息が聞こえた。
「まぁ、話したくないなら無理にとはいわないが……」
柊一さんの手が不意に私の肩へと回される。
「落ち込んでんなら慰めてやるよ」
そのままグイっと体を引かれ、バランスを崩した私は柊一さんの胸に飛び込んでしまった。あっという間に背中に両手を回されて、そっと抱きしめられる。