身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
しばらくして私の涙がようやく落ち着いた頃、柊一さんは私の体をそっと離した。それから私の顔を覗き込み、ふっと微笑む。
「美桜。今週の日曜は空いてるか?」
「日曜ですか? はい、特に予定はないです」
「それなら、どこかに出掛けないか。俺と美桜と、それから冬真の三人で。どう?」
「突然ですね」
今週の日曜はもう明後日に迫っている。私たちよりもおそらくずっと多忙のはずの柊一さんの予定は大丈夫なのだろうか。
けれど、そんな私の心配は必要なかったようだ。その週の日曜日、私と冬真は柊一さんと一緒に動物園に行くことになった。