身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
しばらく進むと大きなゾウのオブジェが見えてきて、どうやらそこで記念撮影ができるらしい。
カメラを持ったスタッフが両親と子供ふたりの家族の写真を撮っているところだった。そのあとにも数人の家族が列を作っていて、記念撮影の順番待ちをしている。
「ママ! 僕もあれやりたい」
冬真がゾウのオブジェを指差してアピールしてくる。ちらっと柊一さんに視線を向けると、彼がうなずいてくれたので私たちもその列に並ぶことにした。
十分ほど待って順番が回ってくると、冬真がゾウのオブジェに向かって走り出す。
「僕、ピースするね」
ばっちりとポーズを決めている冬真の隣に私も並んだ。すると、柊一さんだけ少し離れた場所から私たちを見ていることに気が付く。
「一緒に撮らないんですか?」
声を掛けると、彼は少し驚いた顔をした。
「俺も入っていいのか?」
「えっ」
記念撮影の列に並んだときから私は三人で撮るつもりでいたのだけれど、どうやら柊一さんは違ったらしい。私と冬真だけが撮って、自分は写真に入るつもりがなかったようだ。
もしかして、遠慮しているのだろうか……。
そんな彼に向かって私は手招きをする。