身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
完成した写真はその場で台紙に入れてもらってから購入できるようになっていて、柊一さんが一枚購入してくれた。
「ありがとう、おじちゃん」
柊一さんから写真を受け取った冬真が嬉しそうな笑顔を見せる。そして、自分の背負っているリュックの中に大切そうにしまった。
そこから少し進んだ先には本物のゾウがいて、冬真のテンションがぐっと上がる。けれど、さすがよく晴れた日の休日。たくさんの人がいてなかなか前でゾウを見ることができない。
「見えないね」
私ですらよく見えないのだから小さな冬真には人の足しか見えないだろう。抱っこしてあげたけれど、私もそれほど背が高いわけではないのでまだ見えないらしい。
冬真は首を伸ばしながらなんとかしてゾウを見ようと頑張っている。
「冬真君。おいで」
そんな私たちを見ていた柊一さんが冬真に向かって両手を出した。どうやら私の代わりに抱っこをしてくれるらしい。それを見た冬真は迷うことなく柊一さんに手を伸ばして、私から離れていく。
「よいしょっと」
柊一さんは冬真を軽々と抱っこして、少しだけ上に持ち上げた。