身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
それからキッチンに移動して夕食の支度を始める。その間、冬真はぴょんぴょんを隣に置いて、つみきで遊んでいた。
ふたりでうどんを食べて、お風呂に入って、眠る前にもう一度熱を測ると三十七度代に下がっていた。
冬真はお布団に入ると五分ほどで眠りについた。ぴょんぴょんを両手で抱き締めながら眠る可愛い寝顔を見つめながら、柔らかな髪をそっとなでる。
「冬真は、パパにそっくりだね」
さらさらの黒髪。くっきりとした二重の目と、きりっとした眉。保育園の同じ歳の子たちよりも身長がやや高いのも、おそらく長身の彼に似たからだろう。
冬真の寝顔を見ていたらふと柊一さん――冬真の父親の顔が思い浮かんだ。
四年振りに彼を見たとき、私が真っ先に思ったことは『冬真にそっくり』というものだった。でも、よく考えてみたら逆だ。冬真が、柊一さんにそっくりなのだ。
「でも、性格は私に似ちゃったかな」
冬真はどちらかというと内向的なタイプだと思う。初めて会う人や初めての場所になかなか慣れることができずにもじもじとしてしまう。