身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない

「今度またゆっくりと話がしたい。美桜が今の俺を受け入れてくれるなら、連絡してほしい。待ってるから」

 再び歩き出した柊一さんの足音が少しずつ小さくなっていく。再び顔を上げたときには、そこにはもう柊一さんの姿はなかった。



『――ごめんなさい。結婚は、できません』



 四年前、彼からのプロポーズを断った自分の言葉を思い出す。

 私は、柊一さんに何も告げずに彼のもとを離れた。

 そんな薄情な私のことなんてもうとっくに忘れて、別の女性と幸せになっていると思っていた。でも、そうじゃなかったの……?


〝俺は、今も美桜だけを愛している〟


 柊一さんの言葉が頭から離れないーー




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