身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
想いを知った日



 ***

 私の夢はウエディングドレスのデザイナーになることだった。

 小学生の頃、いとこのお姉ちゃんの結婚式に参列したときに見た真っ白なウエディングドレスが素敵で、一瞬で虜になった。

 夢を叶えるため、服飾系の専門学校を卒業後、セリザワブライダルに入社。一年間の式場勤務を経た後、念願だった本社の衣装事業部へ配属されたのは二十二歳のとき。

 その部署では、自社ブランドのドレスのデザインから製造までを行っていて、いくつかあるブランドごとにチームを組んで仕事をしていた。

 ようやく私は夢への第一歩を踏み始めることができたものの、順調には進まなかった。

 わずか一年後に、私が所属していたドレスブランドが解体されることが決まり、それと同時に私は他部署へと異動になってしまったのだ。

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