身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない

『サイズはあとで直せるから』

 そう言って、柊一さんが箱を開ける。そこには、一粒ダイヤが輝く指輪が入っていた。

『これって……』

 もしかして、プロポーズをされているのだろうか。

 えっ、居酒屋で?

『すまない。こんなところで言うつもりはなかったんだが』

 どうやら柊一さんにも自覚があったらしい。

『ここへ来る前に店に立ち寄って、ちょうどその指輪を受け取ったばかりなんだ。本当はもっとタイミングを考えて別の日にきちんとプロポーズするつもりだったんだが、美桜を見ていたら少しでも早く伝えたくなった』

 柊一さんがまっすぐに私を見つめる。

『俺は、これから先も美桜とずっと一緒にいたい。愛してる、美桜。俺と結婚しよう』

 本当に突然で、まったく予想していなかったこの展開に驚いてしまう。

 でも、次第に嬉しさが込み上げて、心が幸せで満たされていく。だって、大好きな人にプロポーズをしてもらえたのだから。

『美桜、返事は?』

 優しい低い声に名前を呼ばれて、ハッと顔を上げる。

 返事はもちろん‶はい、よろこんで〟

 でも……。

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