身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
そうして仕事漬けの毎日を送った結果、俺は両親との約束通りセリザワブライダルを業界一位へと押し上げることに成功した。
売り上げをさらに伸ばし続け、今では芹沢ホールディングスの全グループ会社の中でもセリザワブライダルの売上は常に上位に入っている。
そのことが評価された俺は、芹沢ホールディングス内での立場が一気に上がったし、以前よりも自分の意見を通しやすくなった。
こうして仕事もプライベートもようやく自由に動けるようになった頃、俺は美桜と四年振りに再会した。
しかも、俺の子供を産んで、たったひとりで育てていたらしい。
美桜と再会した日、なんとなく彼女の言動に違和感を覚え、翌日に美桜が勤めている洋菓子店へと向かって正解だった。そこの女性従業員から美桜の子供が今年で四歳になると告げられたとき、すぐに気が付いた。
俺との間にできた子供かもしれない、と……。