身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
このまま連絡がこないと思っていたが、どうやら俺とのことをじっくりと考えてくれていたようだ。四年経ってもそういうところは美桜らしくて愛情が強まり、ますます彼女を取り戻したくなる。
それに、呼び方も付き合っていた当時の頃に戻っていて、そんな些細なことに嬉しさが込み上げる。
「どこかで会って話をしよう。美桜の都合のつく日で構わない」
『いいんですか? 柊一さん、忙しいのでは?』
「まぁ、忙しいけど、いいよ別に。俺が美桜に合わせる」
すると、美桜が少し言いづらそうに口を開いた。
『それなら、うちに来ませんか?』
「うちって美桜の?」
『はい。冬真に会ってほしいと思って……』
小声で告げた美桜の言葉に思わず目を見開く。背もたれにゆったりと背を預けていた体を起こしてから、電話の向こうの美桜に尋ねる。
「会ってもいいのか?」
『はい。……あなたが父親なので』
美桜の言葉に胸がじんと熱くなるのを感じる。
美桜の子供の父親が俺だということはすでに確信していたが、はやり彼女の口からはっきりと言ってもらえると改めて実感できる。俺に息子がいるんだ。