愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
外の空気は少しひんやりとして、ほてった体にちょうどよく染み渡っていく。けれど頭はぼんやりとしたままだ。

これは何なんだろう。
寝てみるって、えっと、つまりそういう意味だよね?

冗談、なのかな?
もしかして夢、とか?

日下さんの真意が見えないばかりか自分の思考もまとまらない。お酒のせいなのか動揺しているからなのか、心ここにあらずといったふわふわした気持ちで落ち着かない。

繋いだ手は離される気配もなく、気づけば日下さんについてのこのことホテルに来てしまっていた。キラキラとした外装でおしゃれな建物の、そう、いわゆるラブホテルだ。

日下さんは躊躇することなくホテルの中へ足を踏み入れた。もちろん私も躊躇していない。

だって一目惚れした相手と突然急接近するなんてまるでドラマの世界じゃないの。そんなこと自分の身に起きるなんて、やっぱりこれは夢なのかな?

夢なら覚めないでほしい。
日下さんとの繋がりがほしい。
< 12 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop