愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
一瞬にして、ときめきが胸を駆け抜けていく。

こんなに綺麗な顔の男性は初めて見た。
さらっと流れた前髪から覗く綺麗な目。すっと通った鼻筋が整った顔立ちを更に際立たせる。落ち着いた物腰に柔らかな口調は人を惹き付ける魅力がある。

窓から差し込む日差しがキラキラと彼を纏い、まるでその空間だけが違う世界にあるように見えた。

ふ、と微笑む顔はどこか憂いを帯びていてそれが更に私の目を惹き付けた。

かっこいい。
かっこよすぎる。

だけど同時に、寂しい笑顔をする人だなと思った。

それが日下さんとの出会いだった。

それから日下さんの姿を見るたびに私の胸は高鳴るようになった。あんなに嫌だった調達部門への確認作業も、日下さんの姿を見れるならと、むしろ行きたくてたまらなくなった。

それくらいしか日下さんと関わることはないからだ。あわよくばぜひお近づきになりたい。

立つとまたかっこよくて、男らしいしっかりとした肩幅。すらりと伸びる長い足。見ているだけで目が潤う。
これはもう癒しだ。
目の保養。

そんな浮気心を出してしまったからだろうか、大学時代から付き合ってきた彼氏にある日突然フラれた。
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