愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
「あらやだ、芽生ちゃんもう酔ったの?」

戻ってきたママが私の顔を見るなり驚いた声を出す。それほどまでに、私の頬は真っ赤に染まっていたからだ。

「酔いました~。日下さんがかっこよすぎるので……」

どうにも恥ずかしくなり、両手で顔を覆う。思った以上に頬が熱を帯びていた。

「あらー、暁ちゃんの魅力に気づいちゃった?アタシのライバルね!」

「ライバル?」

「アタシも暁ちゃん狙いなの。負けないわよ!」

「えっそうなの?私もママみたいにアタシとか言ったらいいかな?」

「はあ?アンタ、アタシのことディスってるわけ?」

「えっ、違います違います!」

「このド天然が!」

唾が飛ぶほどの剣幕でママに叫ばれ私は弁解しながら小さくなる。二人で小競り合いをしていると、急に日下さんが吹き出した。

「ぷっ、はははっ」

口元を押さえて可笑しそうに笑う日下さんに、ママと二人顔を見合わせる。
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