愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
平日は仕事ばかりしているので彼氏である匠馬に会うのはもっぱら休日になる。かといって休日は匠馬がお昼まで寝ているので、デートはお昼からか夜だけ。
それでも何だかんだ上手くやってきたつもりだったし、そんな不満も持っていなかった。これからもそうやって私たちは過ごしていくんだろうと漠然と思っていた。
いずれ結婚もして平凡な家庭を築くんでしょう。
だから、私の中に“別れる”という選択肢はなかったのだ。今、この時まで。
お昼過ぎに匠馬のアパートのインターホンを鳴らすと、シャツと短パン姿の匠馬が面倒くさそうに顔を出した。
「もうお昼過ぎてるけど、ご飯食べた?」
いつも通り聞くと、匠馬は大きなため息をつく。
「あのさぁ、もう俺たち別れよう」
「……はい?」
言われた意味がわからなくて目をぱちくりさせる。
「だから、もうお前とは別れるって言ってんの。じゃあな」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
玄関のドアを閉めようとする匠馬に、私は慌てて足を挟み込み待ったをかけ、玄関をこじ開けようとした。
匠馬は心底面倒くさそうに舌打ちをすると、冷たく言い放つ。
「お前さあ、平日は仕事バカだしつまんないんだよね。それと、エッチが下手すぎてもう飽きた」
「えっ、……下手?!」
「じゃあ、そういうわけだから」
私が怯んだ隙にバタンとドアが閉まる。
その音はひどく冷たく心に響いた。
それでも何だかんだ上手くやってきたつもりだったし、そんな不満も持っていなかった。これからもそうやって私たちは過ごしていくんだろうと漠然と思っていた。
いずれ結婚もして平凡な家庭を築くんでしょう。
だから、私の中に“別れる”という選択肢はなかったのだ。今、この時まで。
お昼過ぎに匠馬のアパートのインターホンを鳴らすと、シャツと短パン姿の匠馬が面倒くさそうに顔を出した。
「もうお昼過ぎてるけど、ご飯食べた?」
いつも通り聞くと、匠馬は大きなため息をつく。
「あのさぁ、もう俺たち別れよう」
「……はい?」
言われた意味がわからなくて目をぱちくりさせる。
「だから、もうお前とは別れるって言ってんの。じゃあな」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
玄関のドアを閉めようとする匠馬に、私は慌てて足を挟み込み待ったをかけ、玄関をこじ開けようとした。
匠馬は心底面倒くさそうに舌打ちをすると、冷たく言い放つ。
「お前さあ、平日は仕事バカだしつまんないんだよね。それと、エッチが下手すぎてもう飽きた」
「えっ、……下手?!」
「じゃあ、そういうわけだから」
私が怯んだ隙にバタンとドアが閉まる。
その音はひどく冷たく心に響いた。