愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
昼間は仕事に没頭し、夜は帰って寝るだけ。たまに金木犀に顔を出して、飲んでうさを晴らす。
そんなことを続けていたある日、ママが遠慮がちに言った。
「お客さんにね、香苗ちゃんに似てる子がいるのよ」
「ふーん」
「始め見たときびっくりしちゃって。暁ちゃんもいつか遭遇するかもしれないわ」
「そう、興味ないよ」
興味はない。
香苗に似てるから何だっていうんだ。そいつは香苗なんかじゃない。香苗はもういないんだから。
そっけない俺に、ママはそれ以上なにも言わなかった。
だけどその日は突然訪れた。
金木犀に顔を出した日、カウンターでママと話している女性に香苗の姿が重なってドキッとなった。俺は少し離れて座る。
「もしかしてあれが?」
「そうよ」
気になって横目でチラチラと見てしまう。
よく見れば香苗とは違う。そりゃそうだ。だけど朗らかに笑う顔がよく似ていた。
驚いたことに数日後職場でも彼女を見てしまった。なんと同じフロアで働いていたのだ。今までまったく気づかなかった。
俺はどれだけ回りを見ていなかったのだろう。
そんなことを続けていたある日、ママが遠慮がちに言った。
「お客さんにね、香苗ちゃんに似てる子がいるのよ」
「ふーん」
「始め見たときびっくりしちゃって。暁ちゃんもいつか遭遇するかもしれないわ」
「そう、興味ないよ」
興味はない。
香苗に似てるから何だっていうんだ。そいつは香苗なんかじゃない。香苗はもういないんだから。
そっけない俺に、ママはそれ以上なにも言わなかった。
だけどその日は突然訪れた。
金木犀に顔を出した日、カウンターでママと話している女性に香苗の姿が重なってドキッとなった。俺は少し離れて座る。
「もしかしてあれが?」
「そうよ」
気になって横目でチラチラと見てしまう。
よく見れば香苗とは違う。そりゃそうだ。だけど朗らかに笑う顔がよく似ていた。
驚いたことに数日後職場でも彼女を見てしまった。なんと同じフロアで働いていたのだ。今までまったく気づかなかった。
俺はどれだけ回りを見ていなかったのだろう。