愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
複雑な想い
頭が重い。
目が覚めたら自分の家のベッドだった。
金木犀で飲んでいたはずだが、その後どうやって帰ってきたかまったく記憶にない。
「うーん、お水飲みたい」
大きく伸びをしてからのそりとベッドから下りる。と、日下さんと目が合い驚きのあまりその場に尻餅をついた。
「へ、は、えっ?!日下さんっ?!」
「おはよう」
「あ、あれ?何で?」
ここに日下さんがいることが信じられなくて私は辺りをキョロキョロと見回すが、紛れもなく自分の家だった。
「何でって、芽生が鍵をかけてくれないから。不用心だから申し訳ないけど上がらせてもらったよ」
「そっ、それは大変申し訳ございませんでした」
話がのみ込めないけれど完全に私に非があるようで、慌てて土下座をする。だって記憶がないもの。何かやらかしたに違いない。
「うん、まあ元気そうでよかった」
「すみません、記憶がなくて。えっと日下さんが送ってくださったってことですね?」
「そうだね、一応芽生は自分で歩いてたよ。帰ったとたんベッド直行で寝てしまったからどうしようもなくて。飲みすぎには気をつけようか」
「本当にすみません」
勢いよく頭を下げたらゴチっと床にぶつけてしまって鈍い音が響いた。ジンジンと響く痛みに目が覚めるようだ。