愛することを忘れた彼の不器用な愛し方
「あはは!芽生ちゃんの気持ち、アタシには十分伝わったわ。ていうか、暁ちゃんがかっこいいことくらいアタシだって知ってるわよ。バカみたいに興奮してんじゃないわよ。暁ちゃんが困ってるでしょう?」

「だ、だってぇ~ママの意地悪ぅ。ご、ごめんなさい日下さん」

申し訳なく伺うように謝ると、日下さんは手で口元を覆いながら、「いや、大丈夫」と呟いた。

「本当ですか?そんな泣きそうな顔しないでください」

「やだっ、暁ちゃんのどこ見て泣きそうとか言ってんの?笑ってくれてるでしょうが!芽生ちゃんったら失礼ね。酔っぱらってるんじゃないの?お水持ってきてあげるわよっ」

日下さんの表情があまりにも悲しそうだったのでそう言ったのだけど、逆にママに叱られてしまった。

日下さん、今本当に笑ってくれた?
私には泣きそうな顔にしか見えなくて、申し訳なさがつのる。

それに会社で見る日下さんも、いつも悲しいような寂しいような、そんな笑顔をしている。私はそのことがずっと気になっていた。

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