ひと夏の想い出 〜また貴方に会えたら〜
凪紗が帰って行く後ろ姿を見てもうここには来てくれないかもしれないとすごい落ち込んだ。






だけど次の日浜辺に来て黙って立っていた。
俺が先に声をかけると何事もなかったかのような
笑顔で「海里!」って呼びながら駆け寄ってきた。






かと思ったら真剣な顔で俺はいつ帰ってるのかと
きいてきた。
俺は焦った。 なにかを見られたのか?
どうして急にこんなことを聞いてきたんだ?
内心凄く焦ってたけど、平然と「凪紗が帰った後に帰ってるよ」と嘘をついてしまった。






気まずくなった空気を吹っ飛ばして、夏らしい事を
一緒にしようと言ってきた。
「なにするの」と聞けば、ニヤニヤした顔をして
急に水をかけてきた。
俺はビックリしたけど、やり返してやろうという
気持ちになって水をかけ直した。





すると凪紗は「きゃあー」って言いながら嬉しそうに
している。
その笑顔を見て俺も心の底から笑えた。





髪が濡れ雫が滴る凪紗はすごい綺麗だった。
この時からだった。
俺が凪紗に対して特別な感情を抱き始めたのは。






凪紗が帰った後に色々考えた。
なんで俺は浜辺を出れないのか。
夜になると俺は少し透ける。
そして1つの答えが出てきた。






「俺は幽霊なの?」






凪紗にバレないようにしなきゃ。
俺が幽霊だって気づいたら会いに来てくれなくなる。
もっともっと凪紗と一緒にいたい。
あー俺は凪紗の事が好きなんだ。
< 23 / 31 >

この作品をシェア

pagetop