ひと夏の想い出 〜また貴方に会えたら〜
あっもう線香花火が終わっちゃう!
私も勇気を出して伝えるんだ!




「海里!私も……!」





好きと伝えようとすると悲しそうな顔をしながら
人差し指で私の口に当てた。
まるで言わなくていいって言われてるようで
落ち込み下を向く。






でも今言わなきゃ絶対後悔する!
もう1回勇気を出すんだ!
線香花火が消えたタイミングで海里の方を向く。






「海里!」




隣にいたはずの海里がいなかった。





「か、海里?」





周りを見渡すけど、どこにもいない。
どこに行っちゃったの?
さっきまで私の隣にいたのに急にいなくなるなんて。
まさか!消えちゃったの……?





私は焦って 「海里! 海里!」と何度も何度も叫ぶ。
名前を叫びながら涙がボロボロこぼれ落ちる。





膝から崩れ落ち、浜辺に座り込む。
涙が止まらない。
海里は私に好きだと言ってくれたんだ。
私だって好きだよって伝えたい。
< 27 / 31 >

この作品をシェア

pagetop