光を掴んだその先に。─After story─
「失礼します…!」
よし、入室の仕方は教わった通りできた。
あとは椅子に座るタイミング、視線の先、とにかくリラックスして挑む。
「ではまず、1人1人名前からお願いします」
迎えた二次面接当日───。
3人の面接官の前に並んだパイプ椅子には、女3人、男1人という割合で座っていた。
その中のひとりが私、天鬼 絃である。
「本郷 直樹です。城西大学法学部───」
「川井 鈴花です。藍川総合大学、経済学部から───」
「山内 愛実です。同じく藍川総合大学、経済学部を推薦入学し───」
やっぱりおかしいと思った。
これは逆に一種の嫌がらせなの?と思ったくらいだ。
大卒に並んで私だけが高卒。
それなのに二次面接にまで来てしまうなんて。
だって一次面接でアピールできたところなんか何ひとつなかったから。
「では4人目の方、お願いします」
「はいっ!」
大丈夫、落ち着け私。
ちゃんと神社にお参り行ったし、学校で面接対策もしっかりやった。
先生も頑張れ!って応援してくれて。
「天鬼 絃です。と、都立桜塚高等学校から来ました」
「差し支えなければ、進学ではなく就職を考えた理由をお聞かせ願えますか?」
「はい、私は───」
大丈夫、練習したとおりに答えれているはず。
たとえこの場のためだけに考えた言葉だとしても、面接なんかみんなそんなものだと先生もぶっちゃけてたんだから。
「しかし珍しいですね。高卒の子が一次通過だなんて…」
するとひとりの面接官は、誰もが抱く疑問を言葉にした。