光を掴んだその先に。─After story─
そして女の子たちまでもが。
そう言われても仕方ないと、私ですら思っていて。
だってこんなの否定の仕様がない。
その通りだ。
完全に天鬼の肩書きが招いてくれた結果だったのだから。
「…ただいま」
「おかえりなさいお嬢…!え、そんなに暗い顔してどうしたんすか…!まさか落ち───」
「卒業したらぜひ来てくれって言われた」
「ええっ!?採用ってことっすか!?!?」
おめでとうございます!なんて。
全然めでたくない、ぜんぜん嬉しくない。
陽太が前に言ってた理由はこれだったのだ。
この会社もまた、天鬼が裏で支援する大手のひとつでしか無かったんだ。
「なーんでそんなブサイクな顔してんのさ絃ちゃん」
……元からだよこの野郎。
「師匠、私…ここの会社断る」
「いまは陽太だから。普段も師匠とか暑苦しくてたまんない」
私の部屋より私の部屋を使いこなしている男は、座卓にノートパソコンを広げて何やら仕事をしていた。
……自分の部屋でやれっての。
「え、断るの?せっかく受かったのに?」
「…そもそも一次面接に受かった時点でそういうことだったんだもん」
「でもさー?逆にそれを利用するってのも悪いことではないと思うよ?」
「やだよコネなんかっ!それじゃあ何も変わらないのっ!!」
絃織のコネを使って隣に立つことと、何ひとつ変わらない。
それは私の力じゃない。
周りの大きな努力と力で、ただ関係してるからって引っ張り上げられているだけだ。
こんな出来レースは嫌だ。
“天鬼” 絃じゃなく、私という存在を認めてもらってはじめて彼の隣に立てる。