光を掴んだその先に。─After story─




誤魔化せ私っ!!

気づけばいつもこういう恥ずかしい台詞言っちゃうんだから…!


前も「大好き」とか言って、それであとからこうして誤魔化しての繰り返し。



「…ならこのまま拐っちまうか」


「……え…」


「───なんてな」


「んっ…」



すぐに柔らかい感触が唇に重なった。

軽く触れて離れて、今度は深く合わせてくる。

この人のキスはそういうものだった。



「あんま可愛いこと言ってると襲われても知らねえぞ。…俺に」



甘い。

声も、顔も、その目も。


ぜんぶが今にもとろけてしまいそうなのに、それに射抜かれてしまえば逸らせない。

1回でも捕まってしまえばアウト。



「っ、」



そのまま首筋に降りてくる。

ピクッと私の身体が反応して、まるでそんなものがどこまで耐えれるのかと確かめているみたいだった。



「あ、あのねっ!私、就職考えてて…っ」



そんな突拍子もない言葉に動きは止まった。

……かと思えば。



「ひゃぁっ…!」



ペロッと舌が這った。

絶対に今の感触は唇じゃなかった。


そして私のそんな声も初めて出たもの。



「…いろんな意味で煽ってんのかお前」


「なんでそーなるの…っ!絃織が変なことするから…!」


「お前が変なこと言うからだろ」


「変じゃないよっ!今年卒業だもん!普通でしょ…!」



そう、普通だ。
なんなら進学だって考えてないこともない。

……全然やりたいことなんか思い浮かばないけど。



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