光を掴んだその先に。─After story─
───…それにしても。
「桜子ちゃん……おいしい…?」
「すっごく美味しいですっ!私こういうお店、1度来てみたかったの!ありがとう絃ちゃん!」
「うん、喜んでもらえて良かった…」
たくさんお食べ。
まだいっぱいあるからね。
店員さんが目を丸くさせながらお寿司作ってくれてるからね。
……25皿は1人で軽々と食べてる。
まだまだ行けそうなスピードだ。
「ね?俺の言ったとおりでしょ?」
「まさかここまでフードファイターだとは…」
見た目はこんなにも可憐なのに…。
高校を卒業してオーストラリアに留学している桜子ちゃんは、今はちょうど夏休みで日本に帰ってきていて。
しばらく会えていなかったらしいから、陽太も嬉しそうにしてるんだきっと。
「桜子、茶碗蒸し食べる?お寿司ばっかりじゃ飽きちゃわない?うどんもあるよ」
「えっ、お寿司以外もあるんですか!?じゃあ両方…食べたいです」
「…ん、りょーかい」
なにこの甘い空間…。
なにこの焦れったくも甘酸っぱいテーブル…。
見てるだけで恥ずかしいというか、これはどちらかというと陽太が彼女にベタ惚れなのだと。
「……なにかな絃ちゃん」
「ううん、べっつにぃ~~?」
ヤバい、ニヤニヤが止まらない。
陽太のこんなにも素直なところを見るのは初めてだ。
いつもこいつにはからかわれてるから、たまには反撃も許されるはず。
「告白しないの?桜子ちゃんもきっと陽太のこと好きだと思うけど…」
桜子ちゃんがお手洗いへと向かったタイミング、少しつついてみた。