光を掴んだその先に。─After story─
那岐として
懇親会に案内された高級ホテルのパーティー会場は、ざっと500人は集まるだろう大きさの広々とした場所。
シャンデリアが天井に飾られて、並べられたテーブルにはレース生地のテーブルクロス。
お高そうなシャンパン、お高そうな料理、キラキラ目映い空間は見ているだけでクラッとしそう。
「控え室っていうか、もうこれスイートルームじゃん……」
最上階のスイートルームには紺色のドレスが用意されていて、どうやらそれに着替えろとのことらしい。
シルク素材で作られた膝丈のワンピースは着るまでは分からなかったが、背中にふんわりとリボンが結ばれていた。
キュートな見た目でも色は紺色。
鎖骨から腕にかけてレース生地となっていて、大人っぽくてシックなイメージすら持てるもの。
「なんか緊張する…」
こういう大きなパーティーは初めてだ。
天鬼組、佐伯組。
そのふたつを繋ぐ大手企業の社長さん方も集まるらしいのだけど。
「どうせみんなお酒呑んで騒ぎたいだけなんだからっ」
まだ未成年はここにいるのに…。
それに私は知り合いも少ないから、正直そこまで乗り気ではなかった。
でも天鬼組組長の一人娘だから参加は必須。
「…っ、やっぱりヒラヒラする…」
そしてそのワンピースの下は2回目となる例の下着。
ヒラヒラしてスースーして落ち着かないけど、約束したから。
「いちばん最初は陽太に見られたって知ったら、ぜったい怒るよねぇ…」
想像してぶるっと身震い。
これだけは墓場まで持っていこう。
言わないほうが良いことは世の中にたくさんある。