光を掴んだその先に。─After story─




「いおり…っ、まって、今日のキス…いつもより変な感じする…っ」


「男はみんな野生の猿だっつったろ。…俺だって同じなんだよナメんな」


「えっ、やっぱり絃織も猿なの…?」



……そう言われると複雑だ。


なんだよ、絃織も猿なの?って。

その質問どうにかならねえのかよ。



「…そこらの野郎よりはマシだ」



……と、思いたい。

それに俺はおまえ限定だってのに。


名前を呼び捨てにされても気にならないどころか、どんどん欲が掻き立ってゆく。



「ゃ…っ、」



耳を甘く噛んでみれば、可愛らしい声が上がって。

それは確実に少女から女へと変わる過程のものだ。



「…気持ち良いのか、」


「き、気持ちいいっていうか……へ、変な感じ…?」


「でも嫌じゃねえだろ、身体熱くなってるしな」


「ぁ…っ、」



それでも心の奥にある純粋さは昔と何も変わらず“少女”のまま。

だからこそ俺の手で乱したいとも思う。



「…絃、やっぱもう待てそうにねえわ」


「えっ、ひゃっ、いおり…、」


「お頭ーーー!!お頭はいませんかーーー!!」



……そして問題はコレだ。


雰囲気をぶち壊すかのように、ドタバタ走り回る足音。

それは確実に俺の部屋へ向かって来ていて。



「呼んでるっ、絃織呼ばれてるってば…っ」


「…シカトすりゃバレねえ」


「だめだよ…!大事な要件かもしれないし…!」



ドンッ!と、俺の胸板を押して無理やりに退かせた絃。

ちょうどのタイミングでコンコンと部屋の前にノック音が響いた。



「…取り込み中だっつってんだろ」


「す、すみませんっ!!」


「ぜんぜん取り込んでないからっ!!大丈夫だよ俊吾…!!」



真っ赤な顔で反応して、俺をぐいぐい押しては追い出す。


そう、これなのだ。



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