光を掴んだその先に。─After story─




ゆっくり触れもしない。

いつだって人間感知センサーを張り付け、身体をこわばせる絃。



「あはははっ!だよねぇここじゃ無理でしょさすがに。
万が一組長さんに見つかったら、絃織さん殺されちゃうんじゃないの?」


「…許可はとっくに取ってあんだよ」


「いやそれはお付き合いのでしょ?だいたい親なんてものは清い付き合いのことを言ってんだからさ」


「………まじかよ」



確かにおやっさんはABCだの、DだのEだの言ってたが。

つうかDとEってなんだよ。


そもそも俺はなんで天道 陽太(てんどう ひなた)に相談してんだ。



「でもやっぱりまだチュー以上はしてないかー。確かにチューでいっぱいいっぱいって感じするしなぁ、絃ちゃん」


「…おい、変な想像したら潰すぞ」


「わぁ怖い。あんたって経験少ないわりには独占欲つよいんだから」



うるせえ放っとけ。

言い返したかったが図星なため、チッと舌打ちを返した。


経験が少ないのも独占欲が強いのも、それはぜんぶ絃のためというか、絃だからだ。


あいつを守れるように強くなるためなら色恋沙汰なんか興味すら持たなかった。

もしあったとしても、それは上に登るがために仕事の一環として仕方なく。



「もうさ、なんなら2人だけの家でも用意しちゃえば?だってどうせ結婚するつもりなんでしょ?」



こいつにしては良い提案をしてくれたと思った。

それは俺も最近、ふと考え始めていて。


だが踏みとどまっていた理由としては、俺と絃が不安に思っている内容が同じではないということ。


ただそれだけだった。








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