光を掴んだその先に。─After story─
フリフリのワンピース、白いニーハイソックス。
トレードマークのポニーテールは今日はふたつに分けるように低い位置でツインテール。
どうやらそれは“ローツインテ”なんて言うらしいのだけど…。
「お帰りなさいませっ!ご主人様っ!3名様のご来店でーす!」
高校生といえば体育祭に修学旅行、様々な行事があるわけですが。
その中でもやっぱり群を抜いて出るものがそう───文化祭。
そんな今日は待ちに待った高校最後の文化祭、私のクラスはメイドカフェとなっていて。
「うわっ!おまえ女装似合うじゃん!」
「じゃんけんで負けたんだよ…」
「あははっ!あとで写真撮らせろよ!」
もちろん共学なので、女子ばかりではないメイドさん。
それがある意味このクラスの売りというヤツだった。
「今日こそイケメン執事は来るでしょさすがに!!そのためにあたしメイドにしたんだから…!」
「……うん、たぶん」
「きゃーーーっ!やったーー!」
そんな私はもちろん裏方に回りたかったのだけど、気づけばメイド服。
首元にはチェーンの付いた指輪。
……正直、来てほしくなかった。
文化祭があるよ、とは伝えていたけど内容までは教えていない。
普段から忙しい人だから来ないだろうな…なんて思っていたのに。
『予定が空いた。午後になると思うが行く』
今朝、本当にそれは今朝。
こんなふうにサラッと伝えられてしまって。