光を掴んだその先に。─After story─
優花と明莉に囲まれる絃織を遠目に見つめながらコーヒーを用意。
……私の彼氏というか婚約者なのに、あいつら。
メラメラ浮かび上がるオーラをティーカップに注ぎ込む。
「あっ、天馬くん、お砂糖大丈夫だよ」
「おっけ。あ、待って天城。皿に垂れてる」
「…ご、ごめん」
裏方である天馬くん。
そう、彼は私の人生で初めての告白を「ガサツだから」という理由で一蹴りした男だった。
今ではこうして普通に話せているわけだけど、今も私のこういうところが駄目だったのかと実感…。
「あははっ、絃ってばまた天馬に言われてやんの」
「なっ…!なにが…!」
「さすがに2度振られるとかあり得ないぞー」
周りのクラスメイトもクスクスと。
そう、これはみんなが知っていることだったのだ。
というかそれすらもネタになってしまうくらい、このクラスの有名話となっていて。
まぁもう何にも気にしていない私は痛くも痒くもないんだけども!
「どういうことだ。あいつ振られたのか」
「そうそう、絃ってばイケメン執事に引き取られる前に玉砕しちゃって。初めての告白なのにね~」
うわ、忘れてた。
ここにそんな話題を一番に聞かせたくない男がいたの、忘れてた……。
というか何をナチュラルにベラベラ喋ってんの優花のやつ…!!
「ガサツって理由で振られちゃったんだよね?絃」
「わ、忘れたっ!!」
「そんな意地張らなくてもいいのにー」
張ってない。
むしろこの話題を早く終わらせたい。
だってほら、ほら!!
来ちゃったよ若頭が…!
私と天馬くんの前に…!!