光を掴んだその先に。─After story─
気づけばポスッとマットの上に押し倒されて、そのまま囲うように覆い被されてしまっては。
「俺がいつからお前を嫁にしたいと思ってたか知ってるか?」
「…えっと、…去年あたり、とか…?」
天馬くんのことだ。
確実にそれだ、ちょっと怒ってる。
ぜったい怒ってる…。
「ちがう、お前が赤ん坊のとき」
「…そんなに前なの!?」
まさかの事実ここにあり、だ。
去年の夏休みに初めて気持ちが通じたとばかり思っていたから。
まさかそんなにも前だったなんて…。
「す、すごい……一途…、」
そんなに昔から思ってくれてたんだぁ、なんて呑気に思えない今。
じーっと見つめてくる瞳から思わず逸らしてしまって。
誤魔化すように「えへへ」と笑ってみたって駄目。
「す、すみません……、でも絃織とはぜんぜん比べ物にならなくて…!これ本当にっ」
「どれくらいだ」
「えっと、これぐらい!!いやもう表せないくらい…!」
両手で目一杯表してみる。
正直本当にどうして天馬くんを好きになったの私?なんて思っている現在で。
絃織に対する気持ちの大きさと比べたら、天と地くらいのレベルなのに…。
「…ふっ、」
必死に全身で表す私に吹き出すように微笑んだ絃織。
思わず安心からか、ぎゅっと抱きついた。
スッと背中に回される腕。
そのまま甘くとろけるようなキスの雨。
「わっ、ここ学校…っ」