光を掴んだその先に。─After story─
「こんなとこでナンパはだめーーー!!」
咄嗟に声をかけちゃったけど…このあとの計画はノープランだった。
「お、ずいぶんと威勢のいい鴨ネギが来たな」
「わざわざ加わりに来たのかい嬢ちゃん」
また鴨ネギ言われるしっ!
私がいま買い物袋に持ってるのは玉ねぎだっての!
なんてツッコミは心の中にしまっておくとして。
そんな男たちの眼差しは私へも移動して、じりじりと近付いてくる。
「私に手出したらすっごい怖くて強い人にボコボコにされちゃうよっ!!」
「あ?なんだそりゃあ」
「本当なの!!後悔しても知らないからねっ!!」
天鬼組の若頭だよ?
手加減を知らないような人だよ?
もう自惚れてるけど、昔っから私のことしか考えてないような人なんだよ?
「だからここは大人しく帰った方がいいと思うよおじさんっ…!!ほら回れ右っ!」
なーんて言っても従順に動いてくれるなんて最初から思ってないけどさ。
今の私は受験生だし絃織も若頭となって、だからこそ剣道の稽古もしていない。
きっと身体は鈍ってる。
すっごーく鈍ってる。
だから極力そういうことにはなりたくないわけで。
「───…ふっ」
……ん?
いま、誰か笑った…?
明らかに女の人の声だった。
ここにいる女なんて、私か彼女だけだ。
私じゃなかったならば1人しかいない。
「悪いが暇じゃないんだ。いい加減退いてくれないか」
パンツスーツの美女は、素早い動きで男の腕を自ら取った。
「おわ…っ!ぐっ…!!」
「なんだこの女…ッ!!」