光を掴んだその先に。─After story─
「……絃織、」
「ん?」
「いおりー…」
「なんだ」
「あのー、絃織くん」
「それもいいな」
でも絃織に“くん呼び”はちょっと気が引けるというか、なんか可愛いから呼ぶ度に笑ってしまいそうだ。
…なんて、前もこんなこと思ったっけ。
いやそーじゃなくてっ!!
「課題もうちょっとで終わるから待ってて…!ぜんぜん集中できないの…!」
「…別に邪魔してねえだろ」
こんなにくっついててよく言うよ…。
邪魔してるつもりは無かったとしても、気になってシャーペンが進みやしない。
あと3問だから早く終わらせようと頑張ってるのに…。
「ひゃうっ、もーー…っ!」
それに隙あらば!って感じで、うなじに唇を当ててはリップ音をわざと響かせてくるし…。
心臓が持ちませんです、隊長。
そんなこんなで2人だけの休日を過ごしているわけなのですが。
「よしっ!終わったーーっ!」
なんとか終わらせてバッグにガサゴソと課題をしまったとき。
ポトッと、何かが中から飛び出して床に落ちた。
「なんか落ちたぞ」
「あっ、それ…」
「パスケースか?」
たまたま裏面に伏せられたため、表は見えていない。
ふふっと私は悪戯に笑った。
「それ、表面見てみて」